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環軸亜脱臼

[2014年04月22日]

環軸亜脱臼

症例は4か月齢のメスのトイプードル。首を痛がるとのことで近医を受診し、X線検査により環軸亜脱臼と診断され、当院へ手術目的で紹介来院されました。

上の画像は術前のX線検査所見です。第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の間に開きがあり、環椎の腹方への変異が認められ、環軸亜脱臼が確認されました(矢印部分)。そのため、頸部痛解消と脊髄の損傷を防ぐ目的で環軸亜脱臼の整復手術を行いました。

上の画像は術後のX線画像です。環椎と軸椎の脱臼を整復し関節面を掻把、K-ワイヤーとスレッドピン、骨セメントにて環椎と軸椎を固定しました。また、環椎と軸椎の骨癒合を促進するため、海綿骨移植を行いました。

環椎と軸椎の骨癒合が進むまで、頸部を包帯などで外固定する必要があります。今回の症例は体重が1,4kgとかなり小さく、K-ワイヤーとスレッドピンもかなり細いものを使用したため、固定補助として装具士に特注のコルセットの作製を依頼しました。特注のコルセットが完成するまでは、簡易的なコルセットで頸部を固定します。

↑ 装具士とコルセットを調整している様子

術後2ヵ月は厳密な安静が必要です。

環軸亜脱臼は若齢のトイプードル等の小型犬に時々認められる疾患で、頸部痛だけでなく、放置することで深刻な四肢麻痺を起こす可能性があります。そのため、首を痛がるそぶりがある場合、早期に診断し治療を開始することが重要です。