最近のIT化 つづき
[2025年03月25日]
こんにちは。獣医師の平松です。前回ブログの続きです。前回ブログをまだ見ていない方は、そちらを先に読んでいただけると幸いです。
内服処方専用LINE、自動受付システム、ホームページ新設ページ掲載と続きまして、次は電子カルテの導入です。
以前より興味のあった電子カルテですが、記入が自由自在な紙カルテに慣れきっている自分としては、使いこなせるのか心配なところもありました。しかし、紙カルテへの記入は診療終了後に行うことが多かったのですが、その作業に毎日1時間から1時間半ほどかかっており、獣医師にとって負担となっておりました。電子カルテであれば、隙間時間にカルテ入力がやりやすく、また紙に書くよりもタイピングの方が手が疲れずスピードも速いので、メリットも多いと考えられました。
他にも、前に書いた人の字が読めず、カルテを解読するところから始めずにすみ、記入済みのカルテファイルを棚に戻す作業もなくなり、またカルテファイルの保管場所もなくしていくことができます。今回の機会で電子カルテを導入しなければ、今後もカルテ置き場に困り続けるかもしれません。
というわけで、今回導入したのがペット保険大手のアニコムが運営する電子カルテの導入です。いくつかのメーカーが動物用電子カルテをリリースしていましたが、梨の木どうぶつ病院で使っていた会計ソフトのアニレセと連動しているという理由で、看護スタッフからの強い要望により、アニコムの電子カルテを導入することに決定しました。
使ってみると、紙カルテの時と入力方法が変わったため、苦戦しております。しかし、3月からの運用開始で少しずつ慣れてきて、だいぶ早く入力することが出来るようになってきています。20代の大竹先生などは電子カルテを早速使いこなしており、さすが若者は違いますね…。
アニコムの電子カルテでは、検査項目の順番や表記などを自院好みにカスタマイズできるため、現在は電子カルテを使いながら、より使いやすくなるようにカスタマイズも順次進めております。
↑ 診療の合間にカルテのカスタマイズを進める大竹先生。今回のIT化では、梨の木どうぶつ病院のデジタル担当大臣として奮闘してもらっております。
現在は紙カルテと電子カルテを併用しながら運用していますが、今後は少しずつ紙カルテを無くしていき、電子カルテ単独での運用を目指していきたいと思います。
さて次はセルフレジです。
セルフレジとは、受付で飼い主さんとスタッフがお金やカードのやりとりをせずに、飼い主さん単独で画面操作をしてもらい、精算を行うことができる自動精算機のことです。近年、多いの医療機関で採用されており、スーパーやコンビニでも少しずつ普及してきているようです。
↑ とあるスーパーのセルフレジの様子。スーパーなどでは、一つ一つの商品のバーコードを読み取らせますが、動物病院では診療明細に印字されたバーコード一つを読み取らせる仕様が主流のようです。
梨の木どうぶつ病院では、具体的には以下の手順に従って会計が行われる予定です。
①病院スタッフがその日の診療明細の説明を行い、セルフレジの案内をする。
②飼い主さんは診療明細を持ってセルフレジに行き、明細に印刷してあるバーコードをレジに読み取らせる。
③すると金額が表示されるので、現金かキャッシュレス決済か、画面で選択する。
④現金を入れるか、キャッシュレス決済端末で決済を行う。
⑤会計が終わったので病院を出る。
このような手順になります。これにより、病院スタッフは診療明細の説明が終わった後、すぐに次の業務に取り掛かることができ、結果的に飼い主さんの待ち時間の軽減につながります。また、業務終了後にレジ締めを行なうのですが、セルフレジであれば、お釣りの渡し間違いなど人為的なミスがなくなり、会計が合わずに中々帰れなくなるということもなくなります。
セルフレジに関しては、行政によるIT補助金を利用しての導入を狙っているため、セルフレジの稼働は夏くらいからになりそうです。動物病院ではまだセルフレジを導入している病院は少ないですが、会計での業務効率化により、飼い主さんの待ち時間短縮と病院スタッフの業務軽減を期待しております。
最後に、AIによる自動電話対応についてですが、色々調べたところ、今のところ梨の木どうぶつ病院で使えそうなシステムは見つからず、今回のIT化では導入を見送りました。そもそも動物病院での電話の問い合わせは、AIが答えられるような決まった内容の答えというより、症例ごとの細かな状況を判断しないといけない内容が多いため、しばらくの間はAI電話の運用は難しそうですね。
ブログが長くなりましたが、これでIT化の現状報告を終わりたいと思います。今後少し時間が経った段階で、導入したシステムがどの程度役に立ったのか、または問題点などをレビューしていきたいと思います。その際には、宜しければまたお付き合いいただけると幸いです。
獣医師 平松