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乳腺腫瘍

[2015年01月11日]

乳腺腫瘍

症例は16歳のトイ・プードル、未避妊メス。以前より存在していた乳腺腫瘍が増大し、一部が破けて体調が悪くなったとのことで来院しました。

乳腺に多発していた腫瘍は一部が自潰し、出血・化膿していました。そのため、症例は熱が上がり一般状態の低下が認められました。

症例は16歳と高齢でしたが、このままでは今後更なるQOLの悪化が予想されたため、麻酔・手術に対するリスクを飼い主様にご理解頂いた上で、手術を行うこととしました。(QOL:quality of lifeの略で、生命・生活の質のこと)

上の画像は術前の乳腺の様子です。画像左側が頭側、右側が尾側です。多数の腫瘍がボコボコと多発しており、一部が自潰していました(白矢印)。また、頭側の腫瘍は薄皮一枚で破裂寸前の状態となっていました(黒矢印)。

そこで既に自潰している腫瘍と、今後自潰する可能性の高い腫瘍の切除による局所制御を目的として、左第二乳腺から第五乳腺、および右第三乳腺から第四乳腺までの範囲を一括して切除しました。

上の画像は、乳腺腫瘍を切除し、縫合した後の様子です。術後、症例は一般状態が改善し、元気にご飯を食べ、散歩も可能となりました。

画像は術後2週間で抜糸をした後の術創の様子です。以降は局所再発や一般状態の経過観察を行って行きます。

乳腺腫瘍は中高齢の未避妊メスに発生することが多い腫瘍です。予防には若いうちに避妊手術を行うことが効果的とされています。

手術を行う際は、根治目的で拡大切除を行うのか、本症例のように現在のQOLの向上のために必要な部分のみの切除を行うのか、目的を明確にし、飼い主様と十分相談の上で実施する必要があります。