血管シーリングシステムの選択 その1
[2020年09月12日]
こんにちは。獣医師の平松です。現在、次に導入する機材として血管シーリングシステムを検討しております。こちらのブログでも、何回か血管シーリングシステムについて言及したことがありましたが、簡単に言うと、手術の時に血管を縛らなくても挟むだけの操作で血管を止血できる装置のことを言います。
血管シーリングシステムを使わない血管の処理は、以下のような感じになります。
離断する血管をそのまま切ってしまうと、当然のことながら血管から大量出血してしまい、生体は生命の危険に晒されます。そのため、血管を丁寧に縛り(結紮)、止血操作をした上で、外科剪刀などを使って血管を離断します。手順としては、以下のとおりです。
1.離断する血管を剥離するなどして露出させる、2.血管を結紮する(特に動脈は二重に結紮)、3.外科剪刀などを使って離断する。
この3ステップになりますが、特に血管を結紮するのに多くの時間がかかり、結紮時に血管がちぎれて出血するリスクもあります。そのため、外科医は結紮手技を習熟している必要があります。
それに比較し、血管シーリングシステムを使用した場合は、以下の模式図のようになります。
この血管シーリングシステム(パターン1)では、1.血管を露出させる、2.シーリングシステムのデバイスで血管を挟み、手元のスイッチを押すと血管がシーリングされる、3.シーリングされた箇所を外科剪刀などで離断する、この3ステップとなります。
一番時間がかかり気を使う血管の結紮をしなくて済むため、かなりの時間短縮になります。さらに進化したものだと、以下のような感じになります。
この血管シーリングシステム(パターン2)では、1.血管を露出させる、2.シーリングシステムのデバイスで血管をはさみ、手元のスイッチを押すと血管がシーリングされ、さらに離断までやってくれる、という2ステップとなります。
これはパターン1のシーリングシステムに比べ、外科剪刀で血管を切ることまで省略され、手術時間が更に短縮できます。これだけ見ると、一番最後のパターン2が絶対的に良いじゃないか!!と思うと思われますが、ネックは導入費用、維持費、デバイスの滅菌方法などの費用対効果です。
次回のブログでは、各社が開発・販売している実際の機器を比較しながら、良い点とマイナス点を自分なりに考察してみたいと思います。だんだんマニアックな内容になって参りますが、宜しければお付合い下さいませ!
獣医師 平松