咬傷による臀部の化膿
[2013年12月20日]
咬傷による臀部の化膿
症例は推定10~15歳齢の外飼いの日本猫。外から帰ってきた飼い猫が、おそらく他の動物に咬まれたらしく、右臀部のあたりを怪我をしているとのことでした。
怪我を発見した当初は、他院にて患部の洗浄・消毒が行われ、抗生剤を処方されていました。しかし、数日の間にみるみる傷は悪化し、一般状態も良くないとのことでセカンドオピニオンを求めて当院へ来院されました。以下が当院初診時の臀部の傷の様子です。
患部は感染が制御できておらず、広範囲に皮膚が壊死していました。また、壊死した皮膚の下には蛆(ウジ)が湧いており、既に通院での管理は難しい状態でした。そのため、入院治療により徹底した患部の洗浄と点滴治療を行うこととしました。
入院後、一週間ほどで元気食欲は改善し、患部の皮膚の感染も落ち着いてきました。感染が収まったため、外科的に傷を縫合することも検討しましたが、本症例は高齢のため外科的な処置は行わないことになりました。飼い主様には長期の入院を了承して頂き、洗浄による管理を継続しました。
上の画像は入院4週目の傷の様子です。感染が収まってからは傷は順調に縮んでいき、無事退院となりました。
上の写真は退院して1週間目の定期検診時の様子です。傷はほぼ塞がりました。
動物同士の喧嘩による傷は、治療が遅れると感染がすすんでしまい、最悪死に至る可能性もあります。本症例は、通院での治療反応が悪いと判断した時点で、早期に治療方針を転換できたことで傷を治癒させることができました。