レッグ・ペルテス
[2013年06月10日]
レッグ・ペルテス
症例は8か月齢のトイプードル。3か月齢で家に来たが、その時から左後肢を使いたがらずケンケンしているとのことで来院しました。他院にて様子を見ましょうと言われ、そのままにしていたが一向に良くなる気配がないとのことでした。
左が本症例の初診時レントゲン画像、右は比較のための別の犬のレントゲン画像です。右の画像のに比べ、左の画像では矢印で示した両方の股関節の大腿骨頭の部分が膨化・変形しています。画像や身体検査所見、病歴から、若い小型犬に見られるレッグ・ペルテス(大腿骨頭壊死)と診断し、痛みの症状が強く出ている左側の大腿骨頭切除を行いました。
左が術後レントゲン画像、右が切除した大腿骨頭です。この疾患は大腿骨頭の虚血により骨の変形を来し、疼痛が生じます。切除した骨頭はかなり脆くなっていました。
骨頭を切除することで、骨盤側の寛骨臼と大腿骨頭との軋轢がなくなり、痛みがなくなります。骨頭切除した後、股関節の隙間が大きくなることで、足がグラグラになってしまうのではと心配される方が多くいらっしゃいますが、骨頭がなくなってしまってもその隙間には線維性の結合組織が入り込み、大腿骨と骨盤を支えてくれるため、足がグラグラになってしまうことは通常ありません。
本症例は5か月もの間、左後肢の跛行を続けていましたが、術後三日後には足を着けるようになり、3週間後には正常歩行になりました。