膝蓋骨内方脱臼
[2013年06月12日]
膝蓋骨内方脱臼
症例は4歳齢のポメラニアン。よく右後肢を上げ、スキップするような歩行になるとの事で来院しました。しばらくすると正常歩行に戻るが、また少し経つとスキップするとのことでした。
画像は初診時のレントゲン画像です。矢印で示した膝蓋骨が、左は正常な位置にありますが、右は内方に脱臼しているのがわかります。触診でも右膝蓋骨がゆるく、すぐに内方へ脱臼してしまい、膝関節を屈曲・伸展させると、違和感を感じているような仕草がありました。他の関節には特に違和感はなく、膝蓋骨内方脱臼による跛行と診断し、手術を行いました。
画像は術後のレントゲン画像です。縫工筋前部・内側広筋のリリース、滑車溝の造溝、脛骨転移、関節包の縫縮を行い、力学的に足がまっすぐ屈伸できるよう矯正しました。画像のインプラント(白く映っているピン)は脛骨に切れ目をいれ、外側へ転移し、それを固定するために打ち込んだキルシュナーワイヤーと呼ばれる金属です。
膝蓋骨脱臼は長期間放置することで徐々に骨の変形が進み、老齢になってから障害がでることも多い疾患です。明らかに痛みがある場合だけでなく、関節炎や膝周囲の靭帯損傷を最小限に抑えるため、手術が選択されることもあります。
内科的には、太らせないこと、激しい運動を避けること、床材を滑りにくいもの(マットを敷くなど)にすることなどが重要になります。