下顎のエナメル上皮腫
[2013年09月15日]
下顎のエナメル上皮腫
症例は10歳齢、ミックスの中型犬。下顎にしこりがあるとのことで来院しました。
腫瘤は右下顎の後臼歯周囲を取り巻くように存在しており、病理検査の結果、エナメル上皮腫と診断されました。エナメル上皮腫は骨や歯肉への浸潤性が強く、取りきるには正常組織を含めた広範囲な切除が必要になります。そのため、下顎部分切除術を実施しました。
画像は切除後の右下顎の様子です。円で示しているのが、腫瘍を骨ごと切除した部分です。
↑ 外側から見た腫瘍 ↑ 上側から見た腫瘍
腫瘍切除後、下顎骨の断端を丸く削り、切除部分を口唇フラップにより縫合、口角の縫合をして手術が完了しました。
エナメル上皮腫はいわゆる悪性腫瘍ではなく、転移はしません。しかし組織浸潤性が強く、中途半端に切り取ってしまうと再発するため、悪性腫瘍と同様の手術対応が必要です。