膝蓋骨内方脱臼
[2014年07月07日]
膝蓋骨内方脱臼
症例は1歳齢のチワワのオス。一週間前より左後肢を引きずっているとのことで来院しました。触診にて両側の膝蓋骨(膝のお皿)が内側へ脱臼していることが分かりました。以下は初診時のX線検査所見です。
矢印で示したように、両側の膝蓋骨が内側へ外れています。股関節や靭帯などの他の部位に異常が無いことを確認し、膝蓋骨内方脱臼による跛行と診断しました。
膝蓋骨内方脱臼がある場合、膝がまっすぐ屈伸できないことで、長い年月をかけて骨が変形し、それに伴い膝の靭帯を損傷する可能性があります。今回、症状が強く現れていたのは左後肢ですが、将来的に骨の変形が進行するのを予防するため、飼い主様と相談の上、両側の膝蓋骨内方脱臼の整復術を行うこととしました。
術後のX線所見です。膝蓋骨が正常な位置へ整復されています(矢印部分)。脛骨(スネの骨)には、変形した骨を骨切りにより矯正し、固定するためにKワイヤーと呼ばれる金属を打ち込んでいます。他、滑車溝(膝のお皿が乗る溝)の造溝や関節包の縫縮など、様々な手技により膝蓋骨を整復しました。
術後は安静を保ち、レーザー治療などの理学療法を行い機能回復を図ります。
↑ レーザー治療の様子
この症例は術後2週間ほどで正常歩行に戻りました。以降もレーザー治療や関節サプリメントを継続する事で、更なる機能回復が期待されます。