橈尺骨成長板骨折
[2014年08月25日]
橈尺骨成長板骨折
症例は4ヶ月例の雌猫。自宅で遊んでいたところ子供とぶつかり、左前足を着けなくなったとのことでした。自宅近くの動物病院を受診し、X線検査を行ったところ、骨折していることがわかりました。
当院へはセカンドオピニオンを求めて来院されました。持参して頂いたX線写真を確認すると、左前肢の橈尺骨遠位端の成長板の所で骨折していました。内科管理と外科的整復の利点・欠点をご説明し、オーナーと相談した結果、当院にて骨折の手術を行う事になりました。
以下の画像は術前のX線検査所見です。
矢印の部分で骨折を起こし、ズレがあるのがわかります。
症例は4ヶ月齢と若く、骨もかなり細かったため、0.8mmのKワイヤーと呼ばれる医療用ステンレスピンにて骨折整復を行いました。以下の画像は術後のX線検査所見です。
尺骨には1本のKワイヤーを使って随内ピン固定を行い、橈骨は2本のKワイヤーでクロスピン固定(Xになるようピンを挿入し固定)を行いました。
術後は安静を保ちつつ、患肢を着かせるようにし骨癒合を促進させます。子猫のため、骨の成長を妨げないよう、1ヶ月後には骨癒合の具合をみて可能であれば抜ピンを行います。
成長板骨折は、骨が長く成長するための部位での骨折です。そのため骨癒合が完了した後も、成長に伴って骨の変形が認められることがあり、注意が必要です。