動物の装具
[2014年01月19日]
こんにちは。獣医師の平松です。今回は装具についてご紹介します。獣医整形外科では、骨折や脱臼、靭帯損傷など様々な病態に対し、手術によって損傷個所を解剖学的に正しい位置に整復し、歩行機能が正常に回復するよう努めます。
しかし、損傷があまりにも激しい場合、手術のみでは正常歩行に近づけるのが難しい場合があります。またリウマチ様関節炎などの内科疾患による歩行異常は手術適用外であり、対応に苦慮する事があります。
こういった場合、歩行補助器具として、装具を作ります。装具とは、コルセットやスポーツ選手が装着しているサポータのようなものと考えると分かりやすいと思います。
犬や猫は種類によって足の長さや大きさがまちまちで、また同じ種類でも個体によって大きさが変わってきます。そのため、動物の装具を作る場合は完全にオーダーメイドになります。まず対象となる動物の足の型をとり、それに合わせて必要な機能を付随させた装具を作ります。
上の写真は、実際の症例から石膏で型をとっている様子です。この型を元にモデルを作成し、ピッタリ合うよう装具が作成されます。
上の写真は、足のモデルに合わせて作成された装具です。右足首用と、左足首用です。左の写真は右足首用なのですが、こちらの足の方が損傷が激しく、装具の作りが複雑になっています。それと比較し、損傷が少なかった左足首の装具(右の写真)は、よりシンプルな作りになっています。
実際に装具を着用した様子です。これにより歩様は格段に改善しました。(しかもすごくカッコいいです!)これで、また大好きなお散歩に出かけることができます。
装具を作ってくれるのは専門の技師さんです。動物用の装具を作製できる装具士さんは少なく、東洋装具医療器具製作所の島田さんに作ってもらいました。
装具士の島田さんは、動物用装具製作の先駆者で、人間の義肢装具士の国家資格も持っています。獣医整形外科の強力な助っ人です。この物静かそうな外見で、意外と冗談を言うので、うちのトリマーさんがやや引いていましたが、職人気質な良い仕事をして頂き、とても頼りになります。これからも様々な装具を作製してもらい、共に歩様で困った動物達の手助けをしていけたらと思います。
獣医師 平松