善ちゃんの歯石除去
[2023年11月14日]
こんにちは。獣医師の平松です。今年8月より、梨の木どうぶつ病院で病院猫のユズ彦たち一緒に暮らし始めた善ちゃんですが、先日、歯石除去を行いました。10歳をこえてくるとやはり歯石が大分ついてきており、あまり高齢になる前に一度歯石を取っておこうということになった訳です。
歯石除去を行う際は、歯の表だけでなく裏や奥の方まで細かな処置をするために、犬の場合は原則全身麻酔が必要となります。そのため、善ちゃんも血液検査など全身精査をして異常がないことを確認し、麻酔下で歯科処置を行いました。
↑ 麻酔をかけて歯石や歯肉の様子を確認している様子です。ザラザラとした黄色い歯石が付着し、歯肉が発赤しているのが確認されました。その他、口腔内や咽喉頭部分などに腫瘤性病変がないかよく観察します。善ちゃんは幸い、そのような病変は確認されませんでした。
↑ こちらが超音波スケーラーで歯石を除去し、ブラシやラバーカップを使って歯の表面を研磨(ポリッシング)した後の様子です。黄色いザラザラした歯石は除去され、歯の表面がツルツルになりました。
一部はやや茶色っぽい色が歯に残っていますが、これは歯石がしばらく付着していたためにその部分が色素沈着したものです。この色素沈着を落とそうとして超音波スケーラーを当てすぎてしまうと、エナメル質を傷つけたり歯髄にダメージが加わる可能性があり、歯の健康が損なわれてしまいます。そのため、歯石除去ではあくまで歯石を綺麗に落とすことを第一とし、やっきになって歯を真っ白にしようとしないことも大切です。
↑ 歯石除去後の善ちゃん。歯科処置と一緒に瞼のイボも切除したため、エリザベスカラーをしています。今回の処置で善ちゃんも歯肉炎や口臭がかなり改善されました。人間でもよく健康はお口からと言いますが、善ちゃんも何だか若返った様です。
これからも健康に気をつけて、ユズ彦たち病院猫と共に、末長く元気でいてもらいたいと思います。
獣医師 平松