X線撮影システム・DRの検討
[2024年11月02日]
こんにちは。獣医師の平松です。現在、梨の木どうぶつ病院ではX線撮影装置や血液検査機器、超音波診断装置などを駆使して動物の診断・治療にあたっております。それぞれの機器は、適宜、アップグレードしながら日々の診察に役立てております。
今回その中でも、X線撮影装置と、コンピューテッド・ラジオグラフィー(CR)と呼ばれるX線フィルムの代わりに特殊な蛍光プレートを使ってデジタル処理・画像化をする装置があり、それを一新する計画を立てております。
↑ こちらが現在使っている東芝のX線撮影装置です。動物を撮影台に寝かせるように保定し、フットスイッチを押すことで上部からX線が照射され、台の内部に挿入されたCRの読み取り装置(カセッテ)にX線データが記録されます。
↑ X線撮影後、このように撮影台の中からカセッテを取り出し、これをCR本体へ挿入することで、本体のコンピュータがデジタル処理・画像化を行います。
↑ こちらがCR本体です。下にカセッテのデータ読み取り機、上にモニターが乗っています。
↑ 上画像のように撮影後のカセッテを読み取り機に挿入すると、内部の蛍光プレートが自動で中に入っていき、データをデジタル処理・画像化します。あとは読み取った画像を適宜コントラストなど画像処理し、診察室のモニターに送れば撮影終了となります。
このCRのシステムでは、撮影後、40〜50秒ほどで画像が確認できます。従来のフィルムで撮影・現像していた時代では、フィルム画像を確認するまでに10分とかそれ以上かかり、またフィルム現像室(暗室)やフィルムを読む際に使うシャーカステンというバックライト的な機器も必要でした。
↑ こちらがシャーカステンにフィルムを貼った様子です。梨の木どうぶつ病院でフィルムを現像することはありませんが、時々、セカンドオピニオンでフィルムを持ち込まれる方がいますので、シャーカステンは用意してあります。
CRの出現により、フィルムの時と比べて暗室や消耗品のフィルム・現像液なども必要無くなり、圧倒的な時短・コストダウンが実現したのでした。
しかし時は流れ、現在ではデジタルラジオグラフィ(DR)と呼ばれる更に進化したシステムが出現しました。このDRシステムでは、上記画像で説明したようなカセッテを撮影台に入れてX線撮影をし、そのカセッテを今度はCR読み取り機に読み取らせる、という作業がなくなります。
DRでは、撮影台の内部にカセッテの代わりにフラットパネルディテクター(FDP)と呼ばれるパネルが挿入され、X線撮影後に撮影データがそのままコンピュータへ飛び、3〜5秒でX線画像を確認することができます。
しかも、FDPではCRと比べてX線に対する感度が劇的に改善され、少ない放射線量で超絶キレイで鮮明な画像を得ることができるのです!これは是非とも欲しい設備ですね。しかし、やはりこういった良いものは非常に高額で、数百万円の買い物となります。導入するには色々と手順を踏まねばなりません。
少し長くなってきたので、今回はこの辺で。次回のブログでは、今回ご紹介したDRに加え、動物用X線透視システムまでも導入する展望について書きたいと思います。マニアックな内容になって参りましたが、宜しければお付き合いくださいませ!
獣医師 平松